前回の続き
主要登場人物
- おれ….薬学部の陰キャ。日陰者。
- Uくん….今回の実習で仲良くなった。家も近くプライベートでも遊ぶことが多かった。つるんでる奴らいつもガラ悪い。
- ギャル男….今回の実習で仲良くなったダチ。
- Tくん….一年の頃から仲が良いダチ。切れたナイフ。
- イケメン陽キャグループ….メンズ。知り合いレベルの付き合い。
- ゆきちゃん….女の子今回の実習で仲良くなったダチ。
- ジジイ….薬局のボス。気分屋にステータス極振りしたならず者。モノを投げつけてくるってもっぱら噂だった。
- 浅井パイセン….学生の味方。神。優しい。優しすぎて少し学生にいじられる。
- BBA….こいつも気分屋にステータスを極振り。その日によって味方、敵と入れ替わるので毎日ビクビクしていた。
輪ゴムBBA
前回輪ゴムでブチ切れられていたエピソードを話したが、印象に残った肝心な台詞が抜けていた。
BBAはブチ切れながら輪ゴムの止め方が気持ち悪い!!って発狂していた。離れた後も気持ち悪い!気持ち悪い!って連呼していてめちゃくちゃ傷ついた。
気持ち悪い!!って大声で連呼されたの人生で初めてかも….しれねェなァ….オカメ納豆みてぇな顔しやがって….クソッ….って震えながら思った。
今更ながらBBAをフォローする訳ではないが、今なら輪ゴムの止め方にこだわりがあるのはわからないでもない。病院や薬局により束ね方があったり、病院や薬局の中でも人それぞれの調剤方法があるからだ。
業界の方だと伝わるかもしれないがホクナリンテープの輪ゴムの束ね方1つにしても様々ある。斜めに輪ゴムかけたり(オシャレ)、紙に挟んだり(輪ゴムいらず)、紙を二重におってそこに輪ゴムをかけたり(無骨スタイル)….etc
まあそこでやっている束ね方。それが、さも当たり前の常識と思っちゃいけねぇなって話。言ってくれれば最初からやるから初見でキレるのはヤメテくれ。
ダブルフェイス
まあまあ….ここまで中年〜高年薬剤師の話が続いたが別に年齢差別をしているわけではない。若い薬剤師ならまともかって話なんだけど。それは甘い。甘すぎる。
ダブルフェイスは普段は黙々としていて一切話をする事がなかった。若い薬剤師だったし見た目はおっとり系に見えていたので正直完全にノーマークだった。比較的凶悪な薬剤部にも溶け込んでいて、そつなく会話をしている印象だった。見た目とおりいい人そうだなって思った。
しばらく担当になっていたが、あまり喋る方ではなかったが理不尽なキレもなく安心していた。
ところがある日、朝の待機時間ギャル男と2人で座って雑談をしていたらかなり上空から紙の束を投げ落とされた。
ドォン
もちろん地球には重量があるので紙は机に叩きつけられて散らばっていった。紙の質量もあり音が凄い。普通にビビった。
あれ、この人もしかして宇宙帰り?
かの有名なNASAの宇宙飛行士マーシュバーン氏も宇宙帰りからしばらくは無重力空間と勘違いしてコップを地面に落としていたという。
ダブルフェイス「それやれ、あとまわれ」
みたいなことを言われた記憶がある。
言葉が少な過ぎて戸惑う。オレオマエマルカジリ。もののけ姫の猿みてぇな喋りかましやがってヨォ、ビビってなんかねぇぞ(震え声)
急にめちゃくちゃコワイ。その後一切こちらに目をやることがなくダブルフェイスは何処かへ消えてしまった。※朝から夕方手前くらいまでいなかった。
ギャル男もどうしよって見たら紙は患者情報だった。少ないワードと今までの業務からどうやら病室配薬(患者への説明含む)を全て済ませろってことだと判断した。普通に2人で泣きそうになった。とりあえず机や床に散らばった紙かき集めつつ思考を巡らせた。
それにとんでもない量だ!付き添いのダブルフェイスはどっか行って放棄してるし、もうどうすればいいんだよ….って思った。
結局ギャル男と2人で病室を周り大半の配薬を済ませた。ちなみにとっくに昼の時間は過ぎていておれらは当たり前だが昼ご飯なんて食べずに作業をした。これが終わらなかったら、さらにブチ切れられる可能性がある。
必死に薬情を読み辿々しく説明をしながら患者に渡していった。(付き添いは勿論ない)
初めて見る薬だらけだし、薬学生といっても学生の段階なので医薬品商品名でこられると何の成分かがわからなくて(おれらは病院実習からスタートしていたため。)辞書を引きながら必死にお渡しした。
幸い入院患者は大半服用歴のある人ばかりだったのでみなさん此方より理解している状態だったので助かった。
もう果てしなく疲れた。精神的にも肉体的にも。それでも数件終わらなくてヤバいヤバい本当に怒られるって2人で怯えていたらどこからともなくダブルフェイスがやってきて、にこやかに【いや〜おわんなかったでしょ?それwその量は無理だよ〜ww】みたいに友達のように接してきた。
朝のキレ具合どこいったって感じ。おれらはダブルフェイスの二面性に怯えつつその後は引率してもらえた。
この話の反省点としては、手が空いていて暇な時に朝雑談をしていたという点だ。やはり手が空いている時でも何か読んでおくとかしておいた方がいい。ダブルフェイスのキレポイントはそこだった。まあそれでも学生放置すんなよとは思う。
その後ダブルフェイスはキレたのを申し訳ないと思ったのか分からないが、病院辞めたいわ云々とあまり詳細は話さないが比較的フランクに本音で接してきた。
しかしおれたちが心を開かせることはなかった….今思えば彼も調剤プリズンに閉じ込められていたせいで心を病んでいたのかもしれない。
浅井パイセン
この人には助けられた。調剤プリズンの希望。とにかく優しい。ワクワクさんを太らせたみたいな見た目。the理系って感じで、基本早口だしガガガッ喋る感じがさかなクンさんみたいだななんて失礼なことも思ったが、この人が居なかったらみんなかなりキツかったと思う。
学生は調剤した後ジジイのチェックを受けるのだが、何かミスってると猛烈に怒られるので勿論危険。そこで浅井センパイがこっそり裏で全て見てくれるのだ。
忙しい中なんという二度手間を….って申し訳なさと感謝で一杯。浅井パイセンのお陰で救われたケースも多い。
またあまりに忙しい時やはり浅井先輩も学生全てチェックはできない。
ある日ジジイが咆哮する。
【これやったの!!!どいつだ!!!!】
その咆哮はまるで金獅子ラージャン。全員の体がビクッとなり動きが止まる。耳栓装備は勿論ない。
明らかに学生がやったであろうそのミスを浅井先輩は僕です!僕がやりました!ごめんなさい!といい丸く収めていた。その時明らかに浅井は調剤に関わっていなかったのに….なんて方だ….自己犠牲の塊。
ジジイも学生がやったからこそ、そこまでキレただけであって浅井先輩に対しては【ぁぁ、なんだお前か、気を付けろ】とだけ言ってすぐに終わった。学生だったら20分ブチ切れコースだったであろう。
浅井先輩の薬レクチャーも面白かったし、昼飯食ってたらおれも一緒にいいかななんて座ってきて喋ったり、本当に救われた。
調剤プリズンでの浅井先輩の位置付けは低くて他の囚人たちから小馬鹿気味にいじられたりされていたけど、おれは誰よりも浅井先輩を尊敬していたよ。本当にありがとうございました。
実務実習出会いと恋愛編
あんまり暗い話ばかりしても夢も希望もないのでハッピーな話も混ぜようと思う。
実習生のUくんやギャル男とはこの辛い実習を乗り切ったこともあり結構仲良くなった。
一応2人とも元から顔は知っていた。いつも喫煙所にいるUくんはつるんでる奴らガラ悪いし、ギャル男は目つき悪過ぎてコイツガン飛ばしてんのか?って思うような学生だった、
実際はUくんはカッケェしギャグセンも高くて一緒にいて面白かった。よくバイクで2ケツして遊んだり廃墟も見にいったな。ギャル男もめちゃくちゃ面白くて目つきはクソ悪かったがスゲェ優しい奴だった。おれが病んでる時そいつも実習辛いはずなのにめちゃくちゃ励ましてくれた。かなり助けられた。感謝。
とりあえず友達ができる。普段教室で見るなんとなくイケすかないあいつも話してみるとかなりいい奴だったり。話してみると案外普通なんだ。人間仲良くなってみないとわからないもんだ。
あと当時Uくんは元カノをめちゃくちゃ引きずっていた。Uくんの元カノとは友人関係だったおれはUくんの元カノにUくんと最近どうよって何度か探ったりしてみたが、イマイチな感じだった。正直復縁は難しそうだった。
そこに実習で仲良くなった美人なゆきちゃんの登場である。Uくんは中々踏ん切りがついていなかったが、もう次行こうぜ!!と帰り道何回も言って連絡するように何度も促した。Uくんはおれじゃ無理だよ〜いやいやいいよ〜とのらりくらりと回避してたがゴリ押しで連絡をさせた。
Uくんはめちゃくちゃいい奴だったから幸せになって欲しかった。ゆきちゃんは美人なだけじゃなくてめちゃくちゃ性格良くて、お似合いの2人だった。
その後Uくんの頑張りでゆきちゃんとUくんは付き合うことになり、社会人になってからUくんとゆきちゃんは結婚した。凄い。
Uくんやゆきちゃんギャル男らとは実習が終わった後も集まって焼肉行ったりなんやかんやプライベートで付き合いがあった。その後みんなそれぞれ県外に出たりバラバラの住所になったため最近はもう繋がりがないけどね。
実習では出会いもある!ドン
※ちなみにおれは実習期間中病んでしまい当時付き合っていた彼女とは別れた。
実習では別れもある!ドン!
シーズン1終わり。まだまだ続く。